書道家・河内君平の日記
 
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2015/03/17(火)〜03/20(金)「書を通して人間形成を」
17日(火)新四年ゼミ通い合宿2日目  18日(水)博士学位授与祝賀会/謝恩会(目黒雅叙園)  19日(木)桐門賞(スポーツ振興センター主催)/認証評価関連会議  20日(金)書道学科・書道学専攻学位授与式(卒業式・修了式)/書道学科教職員歓送迎会

 

『平成26年度書道学科12期生卒業研究集録』を卒業式で配布する。その巻頭言「書を通して人間形成を」をここに転載させていただく。

 

本冊子には、平成26度書道学科卒業生、12期生75名の「卒業論文」要旨と「卒業制作」3点中2点を収載した。この冊子を手にする頃は、卒業式も終わり四年間の集大成に安堵と感動を覚えているであろう。無事に社会へ一歩を踏み出す諸君に、贐の言葉を贈らせていただく。

 

一年生の「書道学概論」の授業で「書とは何か」を一生かけて探し求めるよう講じたことを覚えているだろうか。卒業後、何人の学生がこの答えを探し続けてくれるであろうか。言い換えるなら、「書を通して人間形成をする」ことの意義を真剣に考えてくれる学生が、どれだけ育っているのだろうかということが気になる。

 

そこであらためて「書を通して人間形成を」という言葉を贈りたいと思う。社会に出ると、「書」と直接触れ合う時間が少なくなる人もいるであろうが、「書」を通じて学んだことは、一生の財産としてこれからも大切に守り、抱き続けていって欲しいと願っている。まったく「書」と懸け離れた道に進んだとしても、何枚も練習し、何冊も読書したことは、きっと一人ひとりの心の糧となって胸底深く堆積していることであろう。悩んだ時、困った時、落ち込んだ時には、四年間「書を通して人間形成した」ことを思い出して欲しい。

 

心急にして執筆緩なる者有り、心緩にして執筆急なる者有り。執筆近くして緊なる能はざるが若き者は、心手斉(かな)はず、意は後に筆は前にする者は敗れ、執筆遠くして急なるが若く、意は前に筆は後にする者は勝つ。——衛鑠「筆陣図」

 

凡そ書は沈静を貴び、意をして筆の前に在らしめ、字をして心の後に居らしめ、未だ作らざるの始めに思を結びて成すなり。——王羲之「書論」

 

この二文は「意前筆後」「意在筆前」、すなわち作品制作には先ず構想を練り、書く前に胸中に構想ができてから筆を執らねばならない、というものである。「書」に限らず、何事もしっかりと時間をかけて準備をし、じっくり構想を練ってから行動に移して欲しい。

 

諸君は小さい頃から「書く」ことが大好きで、「書」に進学してきた筈である。スポーツに似て、特技を専門にし、専門性に特化したいわばマニアックな集団と言える。しかし、自分から積極的に「書く」のではなく、受け身のまま享受して来た者が大半を占めている。加えて「ゆとり教育」で育てられてきた学生気質は、特技に一意専心していくための精神的鍛錬が苦手であり、「悟り世代」と言われるが如く最後までとことん追求することに慣れていない。加えて、時代の潮流が「打つ」文化・デジタル文化へと加速度的に変化してきているため、「何とかなる」とか「誰かが何とかしてくれる」といった自己責任回避に終始する。社会では、そのような受け身や自己責任回避は通用しない。そのことを肝に銘じて、大きく羽ばたいてくれる事を祈っている。

 

平成262014)年1215日 卒業論文・卒業制作の提出日に記す

【2015.03.19 Thursday 19:20】 author : kunpei
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