書道家・河内君平の日記
 
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2015/05/01(金)〜05/12(火)雑誌『和華』インタビューを受ける
512日(火)午後1時半から2時間ほど研究室に於いて、留学生と社会人の提携と協力で「日中草の根外交を目指す!」と銘打たれた雑誌『和華』の編集者による取材を受けた。この雑誌はボランティアで運営発行されているとのこと。それが気に入って「【テーマ】書道を通しての日中交流」のインタビューを受けることにしたのである。事前に提示された質問内容とそれにそったメモおよび〔総論〕は次の通り。

 

・書道とご自身との出会いや繋がり

 6歳母親の勧め/高校の先生の勧め/大学の先生の勧め/海外の友人の勧め

 今井凌雪先生/村上翠亭先生/沙孟海先生/水澤利忠先生

 台湾林進忠先生/天津喩建十先生/北京邱振中先生/ボストン白謙慎先生

 中国美術学院/首都師範大学/天津美術学院/台湾芸術大学/中央財経大学

 

・実作者としての思い、実践しておられること

 伝統/臨書/自詠詩/五体(篆隷楷行草)兼習/オールランドプレイヤー/文人

 言葉/心と手の一致/詩書画印/呉昌碩/個展重視

 

・最近取り組んでおられる研究テーマ

 「書の芸術性に関する術語と現代学者の解釈との比較研究」科研費H27H29

 「唐寅の書」―明代中期蘇州文人

 「黄道周」―明末清初の思想家・学者

 

・書を通した人間形成について(特に日本、中国台湾、その他各国の学生に接して、書道教育現場で感じておられること)

 現代社会は実学重視のため、即座に成果や結果が求められ、マニュアル的、平均的な人間を世に送り出す教育組織の構造であるが、人間形成をするにつれて味わい(書風=風格=人格)が出てくる書は、鍛錬に年月がかかるので、大学教育レベルは基盤形成期である。

 

・日中の書道の歴史や相互関係、特に現在の状況

 聖徳太子の遣隋使以前にすでに中国文化(特に漢字と儒教や仏教)が摂取され、平安時代に遣唐使(空海・最澄・吉備真備ら)が派遣されてさらに中国文化を受容した。中世から近世にかけて禅宗や漢籍の影響を受け、明治に碑版法帖をダイレクトに学習した。戦後は欧米の影響で芸術性が重んじられ、80年代から90年代にかけて中国が逆輸入した。

 現代日本は東洋的なものより西洋的なものを重視する趨勢が増す一方、現代中国は90年代以降先進国の西洋的な科学技術を輸入し終えると、21世紀に入り一気に中国式グローバル化が進んで、逆に西洋的なものより中国古来の伝統的なものを重視する方向に舵を切っている。

 

・書道を通しての今後の日中交流の可能性

 書道と何かを組み合わせた交流の企画や制度を模索する必要がある。

 (例)学校教育と書/メデイアと書/詩と書/印刷と書(文字)/琴棋書画/能科学と書/老人と書/子どもと書/介護医療と書/精神治療と書/世界遺産と書(仮名)/人文学と芸術

 単発的な交流より持続可能な交流を(民間書道団体の交流の時代ではない)

 東アジアの書道文化(特に精神性の重視)をコアとする交流

 顔の見える個と個の交流


〔総論〕古今東西、人間が手で文字を書くという営為は、それぞれの文明国家や地域において、多くの文化を育んで来ました。現代社会がIT化・デジタル化すればするほど、人間はますます心身の乖離が進み、さまざまな障害が生まれているように思います。特にグローバル経済大国において、その現象が顕著に見受けられます。人間の行動規範を決定づけているのは、まず言葉であり、その言葉を書記化することによって、文明文化が形成されて来ました。東アジアの漢字文化圏では、この書記化する伝統に拠って文明が開花し、長年に亘って文化基盤を形成して来たのです。人間が人間らしさを取り戻す為には、まず手で文字を書くことから再出発する必要があると考えます。同じ文字を書いても、十人十色、千差万別で、一つとして同じものはありません。一衣帯水の隣国が、まずは手で文字を書きあって、相手を知り、自分を知ってもらう、相互に謙虚な心構えが肝要です。それをできるだけ若い人、次世代を担う人々からスタートさせなければ、今後の日中関係は進展しないのではないかと感じています。

1日(金)9時半遠隔会議・夜文学部教職員懇親会(28名参加)  2日(土)人間ドッグ  3日(日)帰省  4日(月・祝)5日(火・祝)6日(水・祝)原稿執筆  7日(木)特別研究費会議・学部長会議・大学院MCDC演習授業  8日(金)教授会打ち合わせ  9日(土)二か所書道教室指導  10日(日)原稿執筆  11日(月)ゼミ3年/4年授業・主任会議・文学部教授会・卒業研究指導(自主ゼミ)  12日(火)教授会議案整理・『和華』インタビュー

【2015.05.12 Tuesday 17:41】 author : kunpei
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